リスク比・寄与割合・集団寄与危険割合(人口寄与危険割合)をわかりやすく

リスク比と寄与割合

煙草による肺がん罹患リスクを評価するという例で解説していく。

 

コホート研究で以下のような結果を得た。

ではタバコに曝露された集団と、曝露されていない集団では罹患率がどれほど異なるのだろうか。

計算結果は次のようになる。

ここで、p1/p0リスク比と呼び、これが大きいほど曝露の影響が高い。

また、曝露によって増加した罹患率の割合を寄与割合という。

寄与割合は棒グラフの図をよく見て理解するといい。

集団寄与割合

集団によって曝露率は異なるという事実

ここまでは簡単な曝露と非暴露の簡単な割合の比しか評価してこなかった。

しかし、集団に対して評価をしたい場合は、集団によって曝露率は異なってくるのでそこを考慮しないといけない。

 

極端な話、めちゃくちゃ危険な覚醒剤(リスク比が30とか)でも曝露量が0に近ければ、その集団への心筋梗塞のリスクは少ない。

一方、タバコの曝露率が100%に近い超スモーカー集団がいたとすれば、その集団への心筋梗塞リスクはずっと高くなるだろう。

 

このように、集団に対して寄与割合を求めることが予防疫学には重要である。

これを評価するときに使われるのが集団寄与割合である。

大前提:基本的な考え方

集団寄与割合とは、その集団に対してある曝露が真に影響した罹患率の増加割合である。

さっぱり何を言ってるかわからないと思う。

まずは計算式を見る前に、基本的な考え方を理解するといい。

今回の調査で行くと、

もし一切タバコがない集団では肺癌のリスクは10%です

しかし、この集団では肺癌のリスクが45%でした

この集団ではタバコの曝露により肺癌のリスクが45-10=35%増加したことになります。

この集団における肺がん発生リスクのうち35%分(78%)はタバコ暴露による増加分と言えます。

集団寄与割合は

(45-10)/45=0.78

と計算される。

集団寄与割合を考えるときは、その集団と、もし一切曝露がない集団での罹患率の比較を考えることになる。

求め方

ここまでわかるとあとは簡単だ。

まず、この集団の全体の罹患率と、もしタバコ曝露が一切ない集団における罹患率を計算する。

タバコが一切ない集団における肺がん発生率とは、調査における、非暴露集団の肺がん発生率なので

C/(C+D)

と計算することができる。

そして、その差の割合を求めると、集団寄与割合PAFを求めることができる。

※p0, p1, 曝露率Eのみがわかっているとき

ここまでは調査結果により罹患数などが全てわかっていたが、曝露、非曝露における罹患率と曝露率さえわかっていたら、PAFは計算で求めることができる。

まず、この集団における全体の発生率と、曝露が一切ない肺がん発生率を計算する。

この集団における発生率は、加重平均的に求める。これは図を描いたらすぐわかると思う。

あとは普通に求めるだけ。

リスク比と曝露率さえわかればPAFは求められる!!

具体例

集団によって暴露率は異なってくる。

例えば、次の例では集団A ではコカインの流通量が少ないにも関わらず、集団Bではコカインの暴露率が70%とイカれた集団である。

これにより、集団AのコカインのPAFは0.46、集団BのコカインのPAFは0.94と、コカインにひょる罹患割合の増加量が二倍くらい異なることがわかる。

怒りについても同じような計算ができる。

集団によって曝露と罹患率が大きく異なってくるのがよく理解できると思う。

このように、リスク比と曝露量だけでその曝露による危険性が簡単に評価できるのはとても面白い。

参考