腎臓の機能と腎クリアランス

腎臓の機能

腎臓の大まかな機能は、

  1. 糸球体における濾過
  2. 再吸収
  3. 分泌

の3つである。

濾過においては腎血液中のNa⁺や糖などが尿管へ濾過される。

しかし、一旦濾過された物質も腎静脈でもう一回再吸収されることがある。

また、濾過されなくても腎静脈から分泌されることがある。

腎クリアランス

クリアランスを理解するために必要な基礎知識

○クリアランス

 少しわかりにくい概念だが、腎クリアランスとは要するに

腎臓を通して(濾過、再吸収、分泌の一連の過程を通して)除去された物質が占めていた血流量

である。

 例えば、Na⁺が血液5リットル中に含まれており、それが3リットル再吸収されて残りが尿になったら、クリアランスは2リットルということになる。

 ある物質XのクリアランスをCX、尿中濃度[U]X、単位時間あたりの尿量V、Xの濃度[P]Xとすると

CX×[P]X=[U]X×V

という式が成り立つ。

○GFR(glomerular filtration rate)(糸球体濾過量)

糸球体濾過量とは一分間辺りに糸球体で濾過された流量である。

濾過圧×糸球体濾過係数で与えられる。

○RPF(renal plasuma flow)(腎血漿流量)

濾過に関与した血漿の流量である。つまり、濾過される物質と結合していた血漿を含む血漿量である。

イヌリンクリアランスCinu

イヌリンは特殊な物質で、糸球体で濾過された量はすべて再吸収、分泌されることなく尿中に排泄される。

濾過された分はすべてそのまま排泄される。すなわち

「糸球体で濾過された量」=「腎臓全体を通して除去された物質が占めていた流量」

が成り立つ。

血中イヌリン濃度を[P]inu、単位時間あたりの尿量をV、尿中のイヌリン濃度を[U]inuとすると、

[P]inu×GFR=[U]inu×V

という式が成り立つ。

これとクリアランスの式を連立すると、

Cinu=GFR

となることが確認できる。

※後述するCPAHとちがい、RPFV≠0、つまり静脈中にも残っているということに注意!!!

パラアミノ馬尿酸(p-aminohippurate)クリアランスCPAH

PAHは腎臓に一回通ったら、全て尿中へ除去される。静脈には一切残らない。

つまり、

「濾過に関わった量」=「除去された量」

である。

これより次の式が成り立つ。

[P]PAH×RPF=[U]PAH×V

これとクリアランスの式を連立すると、

CPAH=RPF

となることが確認できる。