低分子量Gタンパク質とRas

低分子量Gタンパク質とは

GTPase活性を持つタンパク質をGタンパク質という。

G蛋白共役型受容体に見られる三量体Gタンパク質と、RasRafなど低分子量Gタンパク質が存在する。

低分子量Gタンパク質の活性化

低分子量Gタンパク質はGDPがGTPになることにより活性化する。

この時,Gタンパク質を活性化する因子の総称をGEF(Guanine nucleotide exchange factor)という。

例えば,Grb2-Sos系ではSosGEFである。

逆に活性化状態から元に戻すやつをGAP(GTPase activating protein)という。

GEFによりスイッチオン、GAPによりスイッチオフ

※以下脳科学辞典の引用

GFFとGAPによる活性調節

 低分子量Gタンパク質は、GDP/GTP交換因子(GDP/GTP exchange factor: GEF)によってGDPとGTPが交換され、GDP結合型からGTP結合型となる結果、活性化される(図)。一方、GTPase活性化タンパク質(GTPase activating protein: GAP)によって低分子量Gタンパク質自身の有するGTPase活性が亢進して、結合しているGTPが加水分解されてGDPとなる結果、不活性化される。

Rasの活性化

ほとんどは受容体型チロシンキナーゼにより起こる。

RTKにより活性化したRasは結果的に多くの転写因子を活性化する。

  1. 受容体がリガンドと結合
  2. GEFSosなど)が活性化
  3. GEFRasを活性化
  4. Rasがそのエフェクター蛋白であるRaf(MAPKKK)を活性化
  5. Raf(MAPKKK)MEK(MAPKK)を活性化
  6. MAPKKMAPKを活性化
  7. MAPKが転写因子を活性化
  8. 遺伝子発現制御

特に、5,6,7をMAPKカスケードという。

Rasががん遺伝子となる機序

  1. Ras合成用の遺伝子が変異する。
  2. 変異Rasが合成される。
  3. 変異Rasが不活性化されず,ずっと活性化。
  4. 転写因子が活性され続け,細胞が増殖し続ける。