疫学研究において、単に人数の割合ではなく、時間を伴った頻度が重要であることはしばしばある。
そこで人年法という概念がある。
![](https://piano-monjoh.com/wp-content/uploads/2022/08/B241C306-F8B1-4A34-93D3-A74618569017-scaled.jpeg)
いま、コホート研究で上のような結果が得られたとする。
累積罹患率
累積罹患率とは、研究期間内での発生割合のこと。
割合とか率の違いは以下を参照
つまり、上の図だと調査された4人中、結果的に二人罹患しているので累積罹患率は2/4=0.5となる。
罹患率
![](https://piano-monjoh.com/wp-content/uploads/2022/08/59C19A1D-9A0C-4E04-88B6-AC89472A24E7-scaled.jpeg)
さて、累積罹患率は一見わかりやすいが、途中で被験者が死んだり、また、途中参入の被験者がいたこを加味できていない。
じゃあこういった時間の幅の意識をデータに持たせるにはどうすればいいか。
これが人年の使い道である。
例えばAさんは5年丸ごと調査されたので、5人年。
Dさんは3年後に死んだので3人年。
といった具合に、時間という幅を分母に持たせた率を求めることができるのが人年の強みである。
- A:5人年
- B:2人年
- C:2人年
- D:3人年
よって、罹患率の分母は12人年となり、観察期間内で2件の疾病発生なので、罹患率は
2/12=1/6(人/人年)
となる。
ついでに、有病率も合わせてこの図に書き入れると、
![](https://piano-monjoh.com/wp-content/uploads/2022/08/6A05DE31-9849-49A9-A765-445C5860CA8A-scaled.jpeg)
※累積罹患率が同じでも、罹患率が大きく異なる例
![](https://piano-monjoh.com/wp-content/uploads/2022/08/73A2E713-4157-4308-80F9-78E9B87E7AC9-scaled.jpeg)